茶室

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きっぱりと断言する葵とは違い、緋影の声はどことなく弱々しい。

「私達のことが心配で心配で、仕方が無いからそんな話をしたんでしょ」

「!」

顔をあげる緋影の眼が、一瞬見開かれる。交差する黒と蒼の瞳。

「……そんなことはない」

言いながら再び葵から眼を逸らす。

「そんなことは、あります。あなたは私達に、自分のお母さんのようになってほしくないからあえて憎まれ口をたたいているんでしょう?」

「……そんなことは、ない……」

「私達を心配していないのなら、こんな話を私に話す必要はありませんものね」

「…………」

射るような葵の視線。部屋を重い沈黙が満たす。

やがて、

「……どうして、あんたや大竹は、そんなに他人を信用できるんだよ……どうしてそんなにいい方向に人を理解しようとするんだよ」

緋影は観念したようにゆっくりと顔をあげた。

どことなく、寂しそうな、羨ましそうな、ぎこちない表情。

落葉のように乾いた笑み。

触れたら、今にも砕け散りそう。

「深山君だって、充分過ぎるほど正直で、他人の事を信用しているじゃないですか」

しかし、彼は力無く首を横に振る。

「……違う……俺は人を常に疑っている。大竹が今日、学食に俺を誘った時だって、俺の口からは『毒を盛るつもりか』だなんて言葉が出てきた……俺は心のどこかであいつのことを信用してない……先輩にしたってそうだ。俺が先輩は何者だって尋ねた時にだって、俺は腰を浮かせて逃げれる体勢を整えていた……バッグの中から凶器が出てくるんじゃないかと思ってた位だ……!俺は……俺は、人を信用する事が出来ないっ!心のどこかであんた等のことを疑っているっ!そんな……俺はそんな醜い人間なんだっ!」