ぶり
表情を歪ませながら悲痛な叫びをあげ、両手で頭を抱え込む。そんな緋影を、
「せ、先輩っ!」
葵は柔らかく抱きしめていた。
「深山君は……純粋過ぎるんです。ガラスのように心が透き通っていて、脆いんです」
ゆっくりと離れ、彼の両肩に手を置く。
「純粋すぎるから、苦しいんです。悩むんです。普通の人ならそこまで悩まない事でも、深山君の繊細な心はそれを許せないだけなんです」
そして、
「だから……そんなに自分を責めないで下さい」
葵の一言で緋影は再び俯いてしまった。
小鳥の囀りが聞こえてくる。
暖かな日差しが目に染みる。
僅かに冷気を感じさせる風が心地よい。
「……うん?」
気付いた時にはベッドの上で寝ていた。
「先輩?」
声を掛けてみるが返事が返ってこない。ふとテーブルに目をやると、そこには一枚の紙切れがあった。
ベッドの上から散乱したテーブルの上に置かれたそれを手に取る。
(いいお話を聞かせてもらいました。今日はこれで帰らせてもらいます。明日、また学校でお会いしましょう 葵 皆海)