二日
彼女は両腕を組んでうんうん頷いている。その様子から彼女には二日酔いの徴候などなさそうだ。そもそも二日酔いであったら朝っぱらからゴミ拾いなどしないだろう。
(……でも先輩、昨日は俺の二倍は楽に飲んでたぞ)
あれで二日酔いにならないなんて信じられない。しかし、葵の動きは軽快そのものだ。
(大食いで、酒豪で、ひょっとしたら病気もしないかもな、この人)
「で、深山君はぼうっと何をしているんですか?」
ぼんやりと考え事をしていた緋影は彼女の一言で思考から引き戻された。
「それはこっちの台詞です。先輩こそ何をしてるんすか?HR始まりますよ?」
「何をしているって、ゴミ拾いをしているに決まっているじゃないですか」
問い掛けに葵は腰に手をあててさも当然、といった口調で答えた。
額を手で押さえ、
「そんな事を聞いているんじゃなくて……」
なぜこんな時間帯にゴミ拾いなんかをしているのか、と聞こうとすると彼女はすでにゴミ拾いを再開している。
「……ちまちまゴミなんか拾った所で、また誰かがゴミを捨てるに決まってますよ」