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……馬鹿馬鹿しい。冷ややかな眼で葵を見下ろす。
そんな事をしたって意味なんかありゃしない。誰かがゴミを捨てるんだから。
だが、彼女は自分の言葉にもめげずに、黙々とゴミ拾いを続ける。
…………
(……ああ、もうっ!)
頭痛といらつきから額を押さえたまま、葵にならってゴミを拾い始める。
「手伝ってくれるのはありがたいんですが、HRはいいんですか、深山君?」
「そういう先輩こそどうなんだよ。HRあるんだろ?それなのになんでゴミ拾いなんかやってるんだよ」
「私は先生から許可を貰ってますから、少し位なら遅れても大目に見てもらえます」
彼女はこちらの方は見ずに、せっせとゴミを拾っている。
……毎日毎日ゴミを拾っても、捨てていく奴の絶対数が多いんだからきりが無い。
それでも彼女は毎日ゴミ拾いをやっているんだろう。
「……この状態で授業出たってたかが知れてますよ。ゴミ拾いの方がまだマシだ」
彼の素っ気ない返答に葵は微笑みながら、
「ありがとうございます」
そう言ったが、緋影は彼女を見ていない。
こんなことをする位で『ありがとう』だなんて言われるのはむず痒い。
(……むしろ礼を言いたいのはこっちだよ)
彼女といると何故か心が澄んでいく気がする。自分の荒んだ心の色が、彼女の心の色に洗い直して貰っているような不思議な感覚。
その心境を緋影は言葉にはしなかった。
そんなぶっきらぼうな緋影を、葵は嬉しそうに微笑みながら見つめていた。