ろりぶ30
そのあとはもう悲惨なものであった。
次々とビールを飲む緋影は酔いつぶれ、逆に葵はどんどん元気になっていく。
立場は完全に逆転し、今は葵が緋影の心配をしはじめていた。
「深山君、大丈夫ですか?」
しかし、返答はない。
緋影は普段の彼からは考えられないような行動を取った。
まるでやけ自棄をおこしたかのように缶ビールを一気飲みしはじめたのだ。
「深山君っ!それ以上は駄目ですっ!」
流石にそれ以上は危険だと判断した葵はテーブル越しに緋影から缶ビールを取り上げた。ビールを取り上げられたからか、緋影は剣呑な光を宿した眼で葵を睨む。
「……どうしてあんた達はそんな事が出来るんだ?」
質問の意味がさっぱりわからない。自分がビールを取り上げた事に対し緋影がそう言ったのでは無いと推測し、葵は眉をしかめながら尋ねた。
「どういう意味ですか?」
「何であんたや大竹は、そうやってほいほいと他人を信用できるんだ?」
酔った彼の口調はどこか嘲るようなものが含まれていた。
「……信用って……何をですか?」
「例えば、俺がこの状況であんたを襲う、とかだ。どうして俺の前でそんなに無防備でいられるんだ」