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そう言って彼は俯く。葵の表情が見る間に険しいものになっていく。
「私が、深山君の事をそんな人間だと思っている、とでも言いたいんですか?」
「思っていたら、こんなふうにビールなんか飲んでられるかっ!」
だんっ、と怒りを発散させるかのように強くテーブルをたたく。
「大竹の奴だってそうだっ!あんたの事を好きなら、あんたが俺のことをどう思っていようと、俺にそのことを言わなけりゃいいんだ!」
緋影は自分自身の心の奥底に鎮めていた思いをぶちまける。
「人はいつか裏切られるんだっ!正直者は馬鹿を見る、それが世界の真理だっ!なのにあんた等はどうしてそんなお人好しなんだっ!人は信用しあうもんじゃなく、疑いあうものなんだよっ!」
葵の険しい表情が、すうっ、と消え、無機質なプラスチックを思わせるものになる。
「私はともかく、大竹君のような人物を信用できない、とあなたは言いたいんですか?」
凛と通る声で確認する。
「ああ、そうだよっ!人は信用出来ない!醜い生き物だからさっ!例外だなんて絶対に存在しないっ!」
パーンッ!
テーブルから身を乗り出して葵は緋影の頬を平手で叩いていた。
音と共に緋影の頬は赤く張れている。
「……哀しい人ですね」
本当に心の底から憐れむように葵は言った。
「哀しい?俺が?」
彼女は無言で頷く。
「はんっ!哀しい?上等さっ!なら逆に聞くがあんたは今までの人生の中で他人に騙された事はない、と断言できるのかっ?!」